
お昼の申し出もいただいたし、博多で食べる鰻に食指が動かぬでもなかったが、時間があるなら一カ所行ってみたいところがあった。
博多駅まで送っていただいて、そこから香椎という駅まで快速。乗り換えでやってきたのはディーゼルカー二両編成で、列記とした福岡市内であるにも関わらずいきなりローカル線のムード。
終点は西戸崎(さいとざき)という駅だったが、その前に何故か海の中道という駅がある。でも海の中道そのものは終点で降りてさらに先に行ってから。
いつも飛行機の窓から見えるその陸続きの小さな島までの道は「歩いて行ける」だろうという感じだったが、実際その場所に行ってみると、その「海の中道」まで行くだけでも大変。
バスがあることがわかったので、ほっとしたが、多分それがなければ延々一時間以上歩いたことだろうな。
「自由人」という雑誌で見たその場所は、バス停「志賀島」で降りて目の前だった。ここまで博多駅から450円とバスが220円。時間にすると40分くらいか。
その「志賀島センター」の海鮮丼は、典型的な漁師料理だった。
ごま油ベースのたれをかけて、混ぜ混ぜにして食べる。ねこまんまってことね。素材の元の味もへったくれもないんだが、これが予想通り美味であった。
島の名物はサザエだというので、どんぶりにも入ってはいたが、そっちはマゼマゼしてしまったので一応ひとつお造りも頼んでみた。800円という値段ではびっくりの量。カリコリッとしたとこもやんわりとしたとこも両方味わえて、もちろん磯の香り満点。
いやはや、福岡は何回か来てるけれど、これはなかなか天神や中州にはない風情で、満足満足。わざわざ足を伸ばしてみた甲斐があったというもの。
帰り際、レジで支払いをするときに目についたのが「フェリー時刻表」。
いくら陸続きとはいえ島なんだから船があってなんら不思議ないが、バスよりも本数あるらしい。
しかもすぐ裏が乗り場とのこと。
お土産に「じゃこ」をひとつ買って、早速乗り場の建物の前へ行くと、子猫がひょこひょこと寄ってきた。
二匹居るが、うち一匹は妙に興味があるみたいでカメラを向けると視線を送ってくるし、こちらが動くと恐る恐るという感じだがついてくる。
おー、かわいいじゃんと思ったけども、もちろん連れて帰ろうなんて思う筈もない。
ところがそこへ登場したのがママ。
「知らないひとに付いていっちゃ駄目よ」とばかりに、子猫たちを呼んで、いきなりおっぱい。
それにはチビちゃんの好奇心もまったく敵わず。子猫ちゃんたちもまた、文字通りねこまんまね。
心配しなくたって、誘拐なんてせんてば(笑)。
切符売り場で迷ったのは、西戸崎で降りるか博多まで行くか。
西戸崎まではバスと同じ220円、来るときにフェリー乗り場が近くにありそうなのは見た。まさかここに来る船とは思わなかったが。
博多までは650円。
フェリーのほうが安いな、と思ったのは、はい間違いでした。
フェリーは博多駅に着くのではなく、博多埠頭に着くのでした。そこからまたバスに乗らなければ博多駅には行けなかった。埠頭って書いておいてくれよ、というのは無茶でしょうか。
船に乗ること40分。
そこは昔、上司の母上の葬儀に参列するために、深夜0時発五島列島行きのフェリーに乗った埠頭でした。